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観劇日誌:劇屋いっぷく堂「東京22区」(後編)

2015年3月9日(月)

ええと、昨日の続き、思考訓練って話です。
例のごとくムダに長いんですけど、どうぞご容赦をm(_ _)m

   *   *   *   *   *

本作は、一幕・一場のシチュエーション・コメディ。
暗転も、役者の登・退場も(ほぼ)なし、
(ついでに、照明もほぼ地明かりだけ、音響も若干のSEのみ)
しかも1テーマで押し通し、ネタとゲーム(駆け引き)だけで展開させます。

かなりの力技なんですが、半面、展開は定石どおりで安定感がありますし、
ネタも東京近辺で生活している人にとっては馴染みがあり、楽しめます。

また、23区の代表(もしくは擬人化された「区」さん)の会議という設定は、多分に寓話的なので、「区の消滅」それ自体にしっくりこなくても、自分の実生活のさまざまなシチュエーションに重ねて考えることができます。

要するに、基本テーマは「scapegoat の選出」ですので、"bell the cat"でお馴染みのイソップ寓話「ねずみの相談」とも同じ、ある種の定番とも言える構図。

また、類似の構図は現実社会においても、沖縄米軍基地、原発、ゴミ処理場などなどいくらでもありますし、別に社会問題じゃなくても、会社にだって、PTAにだって、学校にだってあります。

逆に言うと、どれだけ面白い設定を作るかというのが、脚本家としては1つの腕の見せどころにもなります。

ここで、本作は「東京23区のどれか1区消滅」という設定を置いたわけですね。
身近でありながら奇抜な着想で、独自性の高い設定だと思いました。

       *   *   *

すると、次の課題は、その設定をどうやって観客に納得(受け入れ)させるかなんですが、これには大きく2つの方法があると思います。

A type:
1つは、もう、「こういう設定です」と宣言してしまう方法。

たとえば、
「100年に一度、龍が空を飲み込んで、世界が真っ暗になります」
という設定。
そんなことは(たぶん)起こりませんし、そもそも龍が空を飲み込むってどういうことなのか、とか、なぜそんなことが起こるのか、とか、考え出すと訳が分からなくなりますが、

そんなことは、どーでもいいっ。

「そういう世界なんですぅ〜

と宣言してしまえば、(だいたいの)お客は「そういうものなんだ」と受け入れてくれます。
だって、(だいたいの)お客は、いわば騙されたくって劇場に足を運ぶわけですから。
いかに魅力的なウソを、どれだけ上手につけるかってのも、これまた(これこそ)芝居屋の腕の見せどころ。

この「東京22区」も、おおむね、このタイプとお見受けしました。
「開発モデル地域が〜」とか「ドンガラガッシャ〜ン」とか、若干の情報を与えられますが、なぜそれほど犠牲の大きな方法で「区を消滅」させなければならないのか、説得的な理由は語られませんし、登場人物たちもそこには疑問を挟まない設定になっています。

B type:
そして、もう1つは、その架空世界を詳細に組み立てるという方法。
RPGなんかもそうですが、ある世界観を基にして Detail を埋め尽くし、そこから与えられた設定の下で論理的・合理的に考えると、そうなるしか道筋がない、というかたちで納得してもらいます。

この場合、
観客は、「なるほどね」と頷首して物語に入っていきますので、「1区消滅っつったって、ピンと来ない」というタイプの引っかかりはなくなります。ただし、設定の説明(台詞であれ映像であれ)に時間を費やしてしまうのがネック。

       *   *   *

私だったら、どっちにするかなぁ。

いや、もちろん、どっちもアリなんですけど、私はたぶん、B typeを選択するような。
A type は難しいです。よほど魅力的なウソ――シンプルにして大胆、力強くて常識を覆すような人を食った設定なんだけど、その理由・必然性について一定程度の類推が不可能なわけでもない――を思いついたら、「してやったり」とばかりに採用するでしょうけど、そうでもないかぎりは、ちょっと勇気が出ない。

そこで、たとえば…
20人からの役者は集められない劇団で、「10人くらいなら」ということで、「太陽系」を選択。
どれか1つの惑星を爆発させることに。さて、どの星に爆発してもらうか。

これって、要するに「沈みそうな船で、積み荷(人)を海に放り出して、残された人々の延命を図ろう」というのと同じ構図。
あるいは、船が難破して漂流する4人、食料が尽きて「このままでは4人とも餓死するが、誰かを殺して喰えば、3人は助かる可能性が…」というときに、誰を殺すかという話(これ、実話)とも基本は同じ。

そんなとき、私だったらまず、「なぜ爆発せざるをえないのか」を説明(考案)することに、相当のエネルギーを使うと思います。
とりあえずの思いつきで書くと、
・高齢化し、膨張する太陽。重力バランスの変化。
・太陽系内の時空にひずみが生じる可能性、このままでは惑星たちの連鎖的な爆発や太陽への突入も。
・そうなる前にどれか1つを爆発させ、重力のバランスを安定させよう。
…だいたい、そんな感じ(ホントかどうか、知りません)。

理科系の知識がないので、勉強しないとそれっぽい説明は書けませんがf^_^;)

       *   *   *

火星  水星ちゃんって、放っといたって、いずれは太陽に飲み込まれちゃうんじゃないの? だったらさ〜。
水星  ボ、ボクの前に、ほら、土星さんが輪っかを捨てるだけでも、ずいぶん変わるんじゃないんですか。
木星  ゲップ。
土星  アタシに脱げっての ここまで濡れ場なしでやってきたんですからね、いまさら脱ぐもんですかっ!
海王星  そーいう問題なんですか?
木星  ゲップ。
冥王星  あの、誰かがいなくなっちゃうんだったら、私をまた惑星に格上げしていただけると…
その他全員  お前は黙ってろっ! 
      (バタン。ドアが開く)
ハレー彗星  どもっ、お久しぶり! みんな、元気ぃ〜?
地球  あんた、誰?
ハレー彗星  あ〜れ、ごっ挨拶ぅ。ハレーだよぉ。
その他全員  …(険悪な表情)。
ハレー彗星  …お、お取り込み中…なら、また、今度、来よっかな〜…。
地球  ええ、ぜひそうしてください。
      (バタン。ドアが閉まる)
金星  ちなみに、地球っちさ〜。
地球  ええっ!! 僕ぅ??
金星  まだ、何も言ってないよ。
地球  僕はないでしょ。ね、ね(周囲に同意を求める)。
金星  お隣さんを悪く言うのもなんだけどさ〜。
地球  いやいや。宇宙のオアシス、この美しすぎる僕を消しちゃっていいわけ?
金星  そうは言うけど、人間は地球っちのこと見限って、水やら資源やら植物・動物やらごっそり持って火星に移住しようとしてるじゃん。
天王星  だね。
地球  そ、それは、ちょっと…
金星  地球っち、いらなくね?
地球  は〜〜〜っ!? この金助っ! さてはオレ様を妬んで〜。
水星  か、火星くんは、どうなんですか? 人間が押し寄せてきて。
地球  メ〜ワクだよなぁ、そりゃあ。
火星  そりゃまぁ、選ばれて悪い気はしないけど。
地球  火っ、かー吉ぃ! お前ら2人して裏切るのか! い、陰謀だ、これは…
土星  だいたい落ち着くとこに落ち着いたんですけど、木星のダンナ、こんな感じでいかが…
地球  勝手に落ち着くなー!
木星  …ゲップ。
その他全員  …。
 
実は、木星こそ重力バランスの変化の影響を最も受けてしまい、内部からバスガスバクハツしそうなのだった。しかし、木星はもちろん自身の延命を最優先し、誰も盟主・木星に逆らえない。

危うし、地球っち

       *   *   *

い、いかん。
こういうアホなことを考え始めると、止まらなくなります

ま、ここで地球の危機を救うべく、自己犠牲的に活躍する役を、先ほどの冥王星に振るか、はたまた地球の相棒・月に頑張ってもらうか。

妥当な線としては月こそ<陰>のヒーローに相応しいんですが、
準惑星に格下げされた冥王星が、自分を格下げした奴らを救うべく、太陽系の外れから中心めがけて突っ走ってくるクライマックスもなかなか感動的…

       *   *   *

あ、いかん、いかん。
止めたはずが、まだ止まってなかった

えっと、なぜB type を選択するのかという理由がもう1つありまして…、

最初の設定をしっかり作っておかないと、その設定を覆すこともできなくなるから。

「東京22区」でも、一番望ましいのは「1区も消滅しないこと」です。
しかし、その結論を実現するには、「どれか1区消滅」という大前提をひっくり返す必要があるわけで、そのためには、「なぜ消滅しなければならないか」、翻って「どうすれば消滅せずにすむか」を登場人物たちが解明できるようにしなければなりません。

反対に、冒頭で無条件に「どれか1区消滅」を受け入れてしまうと、それを覆す解決策を見つけることができません。
だから、「東京22区」はあの結末を選択したわけで、
それは、A typeの設定方法を選択した時点で、あの結末をも選択した、とも言えますし、
あの結末を選択したから、A typeの設定方法を選択することができた、とも言えます。

       *   *   *

余談ですが、私も昔、ぐるっと回って振り出しに戻る、という脚本を書いたことがあります。
年老いた父親が失踪し、息子・娘たちが久々に集まって右往左往にてんやわんやするわけですが、そこで描きたかったのは別居中の長男夫婦の問題に、その娘の力で解決(の兆し)を与えること。
だから、老親の問題をはなっから解決する気はなかったんですが、芝居を観た友人からは、やはり「話が進んでないじゃないかっ」と突っ込まれました(笑)。

「東京22区」も、やはり描きたいことは別にあったわけで、それが前編で触れた「一か八かの勝負」と、それを可能にした彼らの信じ合い、認め合う気持ち…だろうと。

奇跡を起こすことができたのだから、消滅云々は、ぶっちゃけ、どーでもいい。
だから、あれはあれで正解なのだと思います。

       *   *   *

話を戻して、B typeへ。
私なら、どうするか。

上記「太陽系」の例で言うと、月だか冥王星だかの自己犠牲によって他の惑星が救われそうになる直前、地球は両手を広げて「消えていい星なんて、1つもないっ!」と叫ばなければなりません。

そうして振り出しに戻ったとき、初期設定がしっかりしていれば、「全員が助かる方法」を見つける可能性が出てきます。
(というか、そのオチに繋げられるような設定を考えるということですが)

そうですねぇ…、

惑星・準惑星・衛星・小惑星にハレー彗星まで参加して、文字どおり<常軌を逸した>惑星(他)大移動による<超グランドクロス>でも起こして、新たな重力均衡でも生み出しますか(笑)。

       *   *   *

実はコレ、ナッシュ均衡を崩すという構図にもっていこうという企て。
自分だけがリスクを負って動くと他者が利益を享受し、自分は損をする。
それを恐れて誰も動かないために、誰もが損をこうむる(あるいは、より小さな利益/損失にとどまる)。

こうした負の均衡状態を崩して、誰もがより大きな利益を享受するためには、
参加者全員が互いを信じて行動を起こさなければなりませんし、
物語の場合、誰かが勇気を出してリスクをとり、皆を先導しなければなりません。

「東京22区」ではその役を◯◯区さん(内緒!)が担ったわけですが、
上記「太陽系」ですと、やっぱり地球が恐怖心を振り払って自ら軌道を外れていくぐらいの行動をとってほしいですね(笑)。

あ、もう、もう、これくらいにしておきますm(_ _)m

   *   *   *   *   *

そうそう、芝居が跳ねて、岩井さんと飲みに。
たまには新しい店に行ってみようということで、レンガ坂を下っていったんですが、金曜の夜とあって、狭い店内はどこも満席。

そんななか、最後に「ここは」とドアを開けてみると、なんと客はゼロ。

客がいない店にはそれだけの理由があるものですが、「まあ、どうせこの2人だし」と度胸試しのつもりで暖簾をくぐり、貸し切り状態に苦笑しながらも、まずはビール。

そして、メニューを見ると、

「ん

けっこう酒好きの喜びそうな料理が並び、また酒も(とくに焼酎が)なかなか充実。

たとえば、こんな感じ。
(食べかけで、すみませんね)
20150306東京22区3_convert_20150307181028
手前が梅水晶、その向こうがキムチともやしと山芋の和え物、サラダはサーロインの薄切り。

20150306東京22区4_convert_20150307181050
こちらは、同じくサーロインの中厚切りと、店員さんお勧めの本日のお魚・鰤(ぶり)を刺身で。

どれも美味しかったです。
おまけに、料金もリーズナブル。

これで店が流行らないとしたら、入り口から店内を覗けないために、周囲の店より敷居が高くなっちゃってるんでしょうね。

とっても、お勧めなんですが…、



店の名前を覚えてませんf^_^;)

       *   *   *

そして、22時過ぎには、由利ちゃんも顔を出してくれました。
オヤジ2人相手に遅くまで付き合ってくれて、ありがとうm(_ _)m
そして、お疲れ様でした(世田谷マダム、似合ってました)(^o^)/


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