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おすすめ絵本12:雷の落ちない村

雷の落ちない村1

2012年5月16日(水)

◎35雷の落ちない村(新装版)三橋節子 作、2008年7月5日(旧版初版1977年4月30日)、小学館、本体1,700円

ええと、以前から知っている「超」名作で、いつ紹介しようかと悩んでいる作品がいくつかあるのですが、そのうちの一つが本日のこちらです。

著者の三橋節子(みつはし せつこ)氏について、多くの方は、絵本作家というよりも日本画家としてご存知なのではないでしょうか? 隻腕の画家、夭折の画家。

たしか、テレビ東京の「美の巨人たち」でも紹介され、私もたまたま見た記憶があります。

本書の末尾に掲載されている年譜によると、

1939年 生まれ。
1960年 新制作春季展で「立裸婦像」初入選。
1961年 京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)日本画科専攻科に入学。
1967年 インド研修旅行。
1968年 鈴木靖将(すずき やすまさ:画家)と結婚。
1970年 長男・草麻生(くさまお)誕生。
1970年 長女・なずな誕生。
1973年3月 鎖骨腫瘍のため右腕(利き腕)切断手術。
    9月 新制作秋季展で「三井の晩鐘」出品
   12月 左肺手術。
1974年 絵本原画「雷の落ちない村」展示
1975年1月 京都日本画総合展に「湖の伝説 余呉の天女」出品。
    2月 転移性肺腫瘍のため、昇天(35歳)



かなり省略していますが、この短い活動期間のなかで、多くの作品を発表しています。

壮絶でありながら、静謐。
この年譜を見ているだけで、胸が熱くなろうというものです。

あらすじ

琵琶湖のほとりの、小さな村。
夏になり、夕立が来ると、なぜかこの村ばかりに雷が落ちる。
そこで、村の少年・くさまおは、

「よっしゃ、おれがかみなりさんをやっつけたる」

と、がんばったが、かみなりさんは、ぜんぜん知らん顔。

くさまおががっかりしていると、湖のぬし、大なまずがあらわれ、

「これ、くさまお。かみなりをやっつけるには、雷獣というかみなりの手下をつかまえにゃならんぞ」

と、教えてくれた。

そこで、村人総出で麻の網をつくり、ついに雷獣をつかまえた。

しかし、村人たちから石や棒でこらしめられる雷獣を見て、くさまおはかわいそうになり、「もう二度と、この村にかみなりを落とさない」と約束をさせると、天に帰してやった。

それ以来、この村にはかみなりが落ちなくなり、村人たちは安心して働けるようになったとさ。

感想など

本書を見て、まず圧倒されるのは、この絵。

雷の落ちない村3

これはもう絵画であって、本書は絵本であると同時に、画集と言ってもいいくらいなのです。

ただし、本書には絵の具で描かれた12枚の絵に混じって、白黒の線画が6枚あります。

本書の「あとがき」にあたる「冬いちご——この絵本のできるまで」によると、この6枚は彼女の死後に夫である鈴木靖将氏が描いたとのこと。

そして、すでにお分かりのように、主人公の少年「くさまお」は「草麻生」すなわち彼女の息子の名前です。

つまり、本書は死期を間近に控えた三橋節子氏が息子への愛と祈りを込めて作ったものであり、しかし、完成には間に合わなかったのでした。

作品中に描かれた、くさまお の表情。

雷の落ちない村2

鈴木氏は、「冬いちご」の中で、次のように語っています。

節子は、この中でくさまおに、生きるために大事な、勇気、優しさ、謙虚、美しさ、ユーモアを伝えようとしたのだろうと思います。



絵本を読み漁り始めてまだ間もない私ですので、あまり偉そうなことは言えないのですが、この作品はきっと日本を代表する絵本の一つだろうと思っております。


なお、滋賀県大津市小関町には「三橋節子美術館」があるとのこと。
いつか、行ってみたいと思います。

   *   *   *   *   *

ちなみに、まったくの余談ですが、彼女の代表作の一つに「花折峠(はなおれとうげ)」と題する絵があります。

ある大雨の日、意地の悪い娘によって川に突き落とされた心根の清らかな娘、すると岸辺の花々が己の体を追っていかだとなり、彼女を救う…。

そんなシーンを描いた一枚の絵で、上記の「美の巨人たち」でも紹介されましたし、インターネットで検索するとすぐに出てくるので、ちょっと見てみてください。

次に、ジョン・エヴァレット・ミレー(Sir John Everett Millais)の「オフィーリア」(「ハムレット」より)を探してみてください。

ね、そっくりでしょ。

生と死という意味では対極にあるこの2つの絵が、そっくりの構図を持っているというのが、何とも興味深く、心に残ったのでした。

おしまい

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