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おすすめ絵本73:新・戦争のつくりかた その弐

新戦争のつくりかた_convert_20141012150603

2014年10月19日(日)

先日の続きです。
本書をぜひお勧めしたいと言いながら、どうしても excuse をつけてしまう、という話。

     *   *   *   *   *

まず気になったのは、本書の論法についてです。

本書は、
「戦争をしない」と誓い、
「戦争をできない」ように法律を作った日本で、
「戦争をできる」ように法律を変える動きが進んでいる
ことに危機感を覚えた著者らが、
"What Happens Before War?"
すなわち、
「戦争が始まるときには、その前兆(前段階)として何が起こるか?」
という問いを設定して、
近年の日本で行われている法改正・政策変更を(寓話的なかたちで)列挙しています。

そのため、本書を読んだ人々は、

たしかに、日本は戦争に向かって突き進んでいる

と感じます。
そこで、本書は読者に訴えます。

もし、あなたが「そんなのはいやだ」と思ったら、
たいへんだよ、なんとかしようよ」と言ってください。

これは、なかなかパワフルです。

でも、…私には、あまり fair な論法とは思えません。

       *   *   *

というのも、ここでは、
日本はいま、戦争に向かっている
という(暗黙の)仮説のもと、
日本の安全保障その他の政策のうち、その仮説を論証する事例が並べられているわけですが、

仮説(著者らの主張)そのものは、一言も言及されません。

HPの内容をよく読み返してみてください。
「日本はいま、戦争に向かっている」と書いているのは、みな読者・評者です。
本書のなかには、その言葉は一度も出てこないのです。

彼らは言います(『新』版p.33以降を要約)
--------------------------------------------------------
お金の話、教育の話、安全保障の話、報道の話…
一見ばらばらなパズルのピースを組み上げていった結果、
一つの絵が浮かび上がってきた。

それは、「漠然とした不安」や「どこかおかしい感じ」が
はっきりとした輪郭をとりはじめたものである。
--------------------------------------------------------
しかし、それがどんな絵なのか、本書は口を開こうとしません。

もしかすると、著者らの意図は「読者に考えてほしい」ということなのかもしれません。
しかし、ならば誘導が過ぎます。
素材を与え、問題を提起し、あとは皆さん自身で考えてください…という以上に、本書自体が主張を持っています。
でも、それを言葉にはしていないのです。

       *   *   *

ただし、仮に明言しようとしても、この論法ではできません。
なぜなら、
Aあなたが人を殺したいなら、包丁を手に入れなさい
Bあなたが包丁を手に入れたら、人を殺すことができます
とは言えますが、
Cあなたは包丁を手に入れたので、あなたは人を殺します
とは言えないからです。

しかし、本書は、読者が「C」と考えるように誘導しています。
ただし、くどいですが、「C」とはどこにも書いていません。

       *   *   *

さてさて。
筆者らは、何を主張したいのでしょう。

一言も書いてはいませんが、それは明瞭です。

「日本が戦争『しない』国であり続けるために、戦争『できない』国であり続けよう」

包丁のアナロジーを使うなら、

人を決して殺さないために、包丁を捨てよう

となります。

       *   *   *

これを主張することは、多くの批判と向き合い、反論しなければならない、とてもしんどいことです。

彼らは、「包丁を手に入れたからといって、人を殺すとはかぎらない」と反論する人々に、何と答えるのでしょうか

「いや、戦争『する』とは言ってない。ただ、戦争『できる』国になってしまったと言ってるんだ」

そう答えるかどうかはわかりませんが、そう答えることが「可能」です。

では、「日本は戦争に向かっている」と読みとらえた読者に対しては、どうでしょうか

「それは、あなたが勝手に考えたことですからね。私たちは言ってませんから。」

そうは答えないでしょうが、そう答えることは「可能」です。

       *   *   *

本書を「教材」として有益だと思う私は、「議論」こそが大切なのであって、対立する双方が自分の主張を言いっぱなしにして相手の声に耳をふさぐというのが最悪の状態だと考えます。

本書もまた、特定の一面のみを示して、その裏側にあるものから目を背けているという意味で、裏側の住人と同じに思えてならないのです。

では、本書が真摯に対峙すべき主張・視点とは何か。
1つ2つ、拾ってみたいと思いますが、そのあたりは次回に

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コメント

雑感

「とにかく死ぬのヤだもんね」
「まず、総理から前線へ。」
というコピーを思い出しました。
後者は糸井重里氏の作(前者は失念)です。

池上さんがなぜ受けるか。
お父さん役をしていた番組の視聴者が大きくなったから…の他に、
「自分の意見を言わない」からだという見方があります。
NHK的な手法が、キャスターニュース流行りの民放ではニッチだった、と。

この本が“焚書”の対象にならないことが、なんとなく不思議です。
ある意味において「心ある人」なら、危険な本だと言われてもおかしくない。
目につかない(目に入らない)だけなのか、世間は浅いのか。

情報過多の時代、斜め読みならまだましなほうで、
文字媒体を読まない(せいぜい眺めるだけ)の人が増えているのもまた事実。
好きなものしか見ない・聞かない・読まない(我慢する理由も暇もない)から、情報が偏る。

若い人がいかに新聞から離れているかは、コンビニに行けばわかります。
レジを打っている人の大半は、種類(品名)と価格の区別がついていない。
「信濃毎日新聞」と「毎日新聞」の違いがわからないし、
「産経」が読めない(品名がわからない)。
2014-10-19 21:05 | 緑青 #- | URL [ 編集 ]

訂正

この本が“焚書”の対象にならないことが、なんとなく不思議です。
ある意味において「心ある人」から、危険な本だと言われてもおかしくない。


…失礼しました。
2014-10-19 21:09 | 緑青 #- | URL [ 編集 ]

ありがとうございます

こんな長くて退屈な記事までちゃんと読んでくださって、ホント感謝感謝ですm(_ _)m

私、自分の記事を読み返すのってけっこう好きなんですけど、このシリーズは我ながらしんどいです(笑)。

でも、チラッと読んだら誤植を見つけてしまったので、全体をチェックし直しです(T_T)

それにしても、本書、2004年に初版が出たときよりも、もしかしたら反響が鈍いかも。
(数字は、後日、調べてみようと思いますが)

2014-11-01 00:42 | 本間宗南 #- | URL [ 編集 ]

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