
2012年4月15日(日)
いやぁ、公演後、初めて家族とともに休みを過ごしました(っていうか、買い物に付き合わされた

)。
いやいや、「付き合わされた」なんて言ってはいけませんでした。本日は快晴の中、浅草橋まで(遅ればせながら)息子の五月人形を買いに行ったのでした。
それでなくても、日頃あまり息子をかまってやっていない私、今日なんて息子をだっこしただけで、嫁さんから「珍しい

」と写真を撮られる始末。
「いつか、『お父さんも、ちゃんとだっこしてくれたことあるんだよ』っていうときの証拠になるでしょ。」どんな父親

…って、ま、分が悪いので、さらっと流します

しかし、浅草橋で何が困るかって、そりゃもう、
JR浅草橋駅にはエレベーターが(エスカレーターも)ないということ。
したがって、ベビーカーだと非常に不便です。
なぜだっ


これだけ節句人形の店がひしめき合っているというのに、ってことは、幼児を連れた夫婦と、そのスポンサーたる老夫婦が集まってくる駅であるというのに、しかも、あんなに幅の広い階段がある(=スペースはある)のに、なぜエレベーター(せめてエスカレーター)を設置してくれないのか

娘のひな人形を買いに来たときも不便だと感じましたが、あれから何も改善されておらず、いや、改善される雰囲気すら感じさせないのは、むしろ見事っ…か
* * * * *ま、そんな愚痴はさておき、本日のお題は、先日の『見世モノ』で私たちが上演しました「山川氏の理由」のタネ紹介。
「タネ明かし」というほど作品に直結していないのですが、下敷きにした作品をご紹介しようと思います。私どもの演目を楽しんでくださった方もそうでない方も、こちらはどれも優れた作品ですので、ご覧になることを是非お勧めします。
1. 『夜の来訪者』まず、全体のプロット、ストーリーラインの下敷きになっているのが、冒頭に写真を掲げた
『夜の来訪者』(
プリーストリー作/安藤貞雄訳、岩波文庫、2007年(内村直也版は1952年))です。
舞台はとある実業家の家庭、娘の婚約を祝う団らんの夜に、警部を名乗る男が訪れ、ある貧しい女性が自殺したことを告げる。そして、そこに集う人々すべてが、彼女の死に関わっていることを徐々に暴いていく。ところが、彼が去った後に…


痛烈な社会・人間風刺(批判)であると同時に、ミステリーあるいは不条理劇の要素も持った作品で、プリーストリーの代表作だそうです。
一方、私の作品では、私が演じた「山川さん」の自殺理由を、二宮刑事に触発されながら、小太郎はじめとするTV番組スタッフたちが「再現VTR」の手法を通して解き明かそうとします。
そして、ミステリーの部分は、刑事ではなく山川が負うことになっています。
といった入れ替えをしてはいますが、まぁ、読んでいただければ構図の類似性はすぐに分かると思います。
2. 『女優のブレイクタイム』次に、場面設定の元ネタは、
『10ミニッツ・オールダー』(2002年)というオムニバス映画(DVD2枚)に収録されている「
女優のブレイクタイム」(
ジム・ジャームッシュ監督)という作品です。
この作品の原題は、「
Int. Trailer. Night」。これは映画の脚本における場面設定を示した記述でして、インテリア(=室内)、トレーラー(=ロケ先で控え室代わりになっているトレーラーハウス)、夜、を意味します。
ある女優がロケ先で10分の休憩時間を与えられ、トレーラーハウスで休もうとするのですが、次々とスタッフがやってきて休む暇もなく、また撮影へ…というお話。
で、もはや言う必要もありませんが、「山川氏の理由」も舞台設定はほぼ同じ。ロケ地である高尾山のとある場所に駐車している楽屋代わりのトレーラーハウスの中ですべてが行われています(ただし、時間帯は昼前から夕方まで)。
したがって、ある意味では、「女優のブレイクタイム」の場面設定に「夜の来訪者」のストーリーを乗っけた、とも言えます。
3. 『失われた一万年』そして、第4章として挿入された小太郎と新助のシーンで、新助が小太郎に語る「ワウワウカワカワ族」の話は、同じく
『10ミニッツ・オールダー』に収録されている
「失われた一万年」(
ヴェルナー・ヘルツォーク監督)を元ネタにしています。
これは、ブラジルの奥地で石器時代同様の生活を送っていたウルイウ・ワウワウ族という部族が、白人が持ち込んだウイルスによって壊滅的打撃を受け、生き残った人々も…という話です。
生き残った人々は、何とか現代社会に適応しようとしているのですが、私の作品では、部族名を(なぜか)「ワウワウカワカワ族」とし、単純化のために「風邪で絶滅」したことにしてしまいました。
* * * * *以上です。
なんだ! 小説1本と映画1本だけから作ったのかっ!と叱られそうですが、ええ、まぁ、そうです
f^^;)ただ、その2本(3作品)を選び出し、結びつけるまでに、いろんなものを見たり読んだりし、またいろんなことを考えてもおりまして、さらにその3作品を結びつけるところに
新結合(イノベーション)があるとも言え、それほど「お手軽」というわけではない、…と思っているのですが、ま、それはご判断にお任せします。
いずれにせよ、ここでの趣旨は、どれも面白い、優れた作品ですので、タネ明かしの体裁をとりながら、皆さんにお勧めしたい、ということです。
それでは、また
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