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観劇日誌:東京晴々「帝国のクッキング」

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2013年12月7日(土)

このところ、芝居を観に行っても、
観劇後に飲みに行き帰りが遅くなってブログは持ち越し結局、書かないまま次の記事へ

という悪循環(?)で観劇日誌を書けなかったのですが、この1週間で3本ほど溜まってしまったので、さすがに今日こそは書こうと思いますf^_^;)

     *   *   *   *   *

観劇日誌:劇団東京晴々『帝国のクッキング』
作・演出:矢野未知生
於:上野ストアハウス

去る11月29日(金)、仕事を(無理やり)終わらせて、一路上野へ。
初めて行く劇場だったので、少々道に迷いながら、なんとか5分前に到着。

この劇団は、私の遠〜い後輩たちが中心となって立ち上げたもので、そのメンバーの一人、森木さんには、東京あたふた時代に衣装を担当してもらったことがあります。

こういう若い人たちが、一方で職業をもちながら、他方で水準の高い演劇作品を作り続けているというのは、何とも頼もしいことです。

     *   *   *

この劇団の一番の特徴は、やはり矢野氏の脚本世界。
(と言っても、まだ2本しか観ていませんが
昭和に材を取り、時代を動かす大きな物語の中で、翻弄されながらも逞しく紡がれる、市井の人々の小さな物語。

今回の舞台は、日米開戦前夜の1939年。
東京は上野の小さなアパートに住む住人たちが主人公です。

<チラシより>-----------------
食糧事情の悪化によって、食材の節約を推奨する運動が全国的に展開されるなか、このアパートメントでも、節約料理の教室が騒々しくも楽しく実施されていた。
そう、ある男が新たに入居してくるまでは——。
台所で繰り広げられた、もう一つの「戦争」を活写する物語。
-------------------------------------
要するに、
より安くて手に入りやすい食材を、油や燃料をできるだけ使わずに、短時間・省労力で作る
かつ、十分なカロリーが補給できて、栄養のバランスもよく、家族の健康を維持できる
そして(できれば、不味いよりは)そこそこ美味しい…
そんな料理を日本全国に普及させて、戦争を乗り切ろうということのようです。

史実との関係について、私はまったく知らないのですが、参考文献として
藤原辰史『ナチスのキッチン』水声社、2012年
斎藤美奈子『戦下のレシピ——太平洋戦争下の食を知る』(岩波アクティブ新書)、岩波書店、2002年
井上寿一『理想だらけの戦時下日本』(ちくま新書)、筑摩書房、2013年
が紹介されているので、これらから着想を得たということでしょう。
興味のある方はどうぞ。

で、とあるアパートの住人たちと、そこへ派遣されてきた節約料理教室の講師・佐山を中心に、品評会(発表会? 報告会? 忘れてしまいました)に向けて料理の特訓が続きます。

     *   *   *

…なんて書くと、とっても地味なんですが、実際、序盤はまったりとしていて「こんな設定で、どうやってドラマを作るんだろう…」と、観客ながら心配になります。

が、これもやはり、この劇団の特徴のようなのですが、中盤からググッと盛り上がってきます。

今回のストーリーでは、「配給」をめぐって住民たちを「危機」に追い込むことで緊張が生まれ、そこに佐山をはじめ人々の抱える悩みや苦しみが浮かび上がってくるという仕掛け。
「なるほど、その手があったか」と膝を打つ展開でした。

     *   *   *

そして、夢破れた男たちが次々と去って行った後に残ったのは、地に足をつけ力強く生きる女たち。

今日でもジェンダーをめぐる問題はさまざまな形で存在していますが、当時はなおのこと。
「女は家族のために料理を作っていればいい。」
そんな男たちの本音が透けて見えるなか、彼女たちはひたむきに闘い、したたかに抵抗し、…結局、派手なことは何一つしないのですが、しっかりと生き残っていきます。

矢野氏がパンフレットで「女性たちの活劇」と呼び、森木さんは「女たちの群像劇」と言い表しましたが、失意の中で去って行く佐山と、涼やかに日常を生きる女たちとの対比に、「なるほど」と再び膝を打ちました。

この作品を観終わって私の頭に浮かんだのは、黒澤明監督「七人の侍」。
映画のラスト、 田植えに勤しむ農民たちの姿に、志村喬の演じる島田勘兵衛が「勝ったのは百姓たち…」とか何とか(正確なところは忘れました)呟きますが、「勝者とは最後まで残ったもののことである」ならば、この作品では間違いなく「勝ったのは、あの女たち」と言えるでしょう。

     *   *   *

この作品、男たちの挫折にせよ、この後に彼女たちが迎えるであろう暗い運命にせよ、時代背景も踏まえてよくよく思いを巡らせると、必ずしも後味のよい作品とは言えないのですが、にもかかわらず清々しく感じるのは、こうした「女たちの凱歌」を描き上げているからだろうと思いました。



ええと、個々の役者の演技についても、演出をとる立場からいろいろ勉強になる点はあったのですが…、長くなったので、おしまい


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