2013年5月8日(水)
いやぁ、もたもたしている間に、
前回の「おすすめ絵本」 から2か月半も経ってました。
数えてみたら、この間に50冊ほどの絵本を読んでいるので、一応、週5冊のペースを維持してはいたみたいですし、「あ、これを取り上げたい」と思う作品もいくつかあったのですが、いかんせん、落ち着いて感想を書ける精神状態じゃなかったんでしょうね。
じゃあ、今は落ち着いたのかというと、そうでもないのですが、GWまでの「万全の体調でベストの仕事をしないと、とても乗り越えられない」というほどの峠は越えたみたいで、「ちょっとくらい寝不足でも、何とかなるか」みたいな(いいのか、それでっ
f^o^; )
じゃ、ま、始めますか。
* * * * * ◯232
『サーカスの少年と鳥になった女の子 』 ジェーン・レイ/作・絵 河野万里子/訳、2012年12月31日、徳間書店、1600円(Ahmed and the Feather Girl, text and illustrations by Jane Ray, frances Lincoln, 2010)
<あらすじ> 主人公は
アーメッド という名の少年。
両親はなく、サーカスの雑用係で、薪拾いに水汲み、馬車の掃除に動物たちの世話、おまけに洗濯・料理と、働き詰めでした。
ある冬の日、アーメッドが森で薪を集めていると、大きな金色の卵が落ちていました。
このまま雪の上に放っておいたら、冷たくなってしまいます。
アーメッドはサーカスに持ち帰り、柳の枝で巣を作り、温めてやりました。
しかし、卵はすぐにサーカス団長の
サリームばあさん に見つかり、取り上げられてしまいます。
やがて、春になると、卵が割れて、かわいい女の子が現れました。
サーカスの人たちは、女の子を
オーレリア と名づけます。
オーレリアは、羽根のように柔らかい髪と、きらきら輝く目をしていて、夜明けには小鳥のように歌いました。
また、日が経つにつれ、背中にはぽつぽつ羽根が生えてきました。
サリームばあさんは、オーレリアを大きなかごに入れて、見世物にしました。
「金色の卵から生まれた、美しい歌を歌う女の子」はたちまち評判になり、サリームばあさんは大もうけ。
ところが、春から夏に替わる頃、オーレリアは悲しい顔をするようになりました。
森の鳥たちが呼んでいるのに、飛んでいけないからです。
そこで、アーメッドは、サリームばあさんの眠る馬車に忍び込み、かごのカギを盗むと、オーレリアをかごから出してあげました。
オーレリアは、翼を広げ、息を大きく吸うと、高らかに歌いながら、夜空へ舞い上がっていきました。
* * * オーレリアを逃がしたために、サリームばあさんはますますアーメッドをこき使うようになりました。
アーメッドは、寂しさと辛さで泣きながら、馬車の下で眠ります。
すると、毎晩、夢にオーレリアが現れ、その度に羽根を1本、アーメッドに渡しました。
アーメッドが目を覚ますと、手の中にはその羽根が。
アーメッドは、羽根を大切にしまいました。
そして、ある雪の夜…。
<感想など> たまたま、このジェーン・レイ氏の作品を見つけ、何冊か集中的に読んだのですが、とにかく心に残るのが、登場人物の艶やかな黒髪と、黒く大きな瞳。
(必ずそうというわけじゃありませんが、とても印象的なのです)
例えば、『
リンゴのたねをまいた おひめさま 』の三姉妹しかり、『
カプリの王さま 』のジュエルおばさん、しかり。
生命力にあふれているというのでしょうか。
とくに、
ジュエルおばさん は、かなりイイ感じでして、王さまが彼女にプロポーズするのもよくわかりますし、そのプロポーズの台詞も、かなりイケてます。
それに比べると、本作品のラストは、本当にハッピーエンドと言ってよいのか、どこか物悲しいような…。
辛い現実世界では幸せになれない、弱く虐げられた者たちが、星の向こう側の世界へと逃避することで、やっと救済されるような、そんな胸苦しさがあって、居たたまれない気分になります。
こんなに澄んだ美しい瞳で、軽やかに空へ舞い上がっているというのに。
最後の頁を見たとき、あなたはどんな気分になるでしょうか
* * * * * ええと、久々なんで、どうも調子がつかめませんが、とりあえず、こんなところで。
また、来週
(たぶん)
スポンサーサイト