カレンダー

07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

プロフィール

本間宗南

Author:本間宗南


最新記事


最新コメント


最新トラックバック


月別アーカイブ


カテゴリ


ご来場者


検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR

おすすめ絵本28:ぼうさまになったからす

ぼうさまになったからす

2012年9月14日(金)

このコーナー、紹介する作品が偏らないようにと心がけているのですが、どうしても傾向は出てきてしまうもので、再び松谷みよ子作品、しかも過日にご紹介した「新編・絵本平和のために」シリーズからの出品(?)です。

◯102新編・絵本平和のために 2 ぼうさまになったからす文・松谷みよ子 絵・司修、1978年11月(1983年6月改訂)、偕成社、1200円

<あらすじ>

すこし むかし
からすが
たくさん いる
村が あった

ある年
せんそうが おこった

村の おとこたちは
たたかいに でていった

おとこたちは
つぎつぎと 死んでいった

海の むこうの
大陸で
南の 島で

ある日
ふと きづくと
村には からすが
いなくなっていた

ひとりの ばあさまが いうた
からすは おとむらいに いっただよ
海を こえてなあ

むすこが 死んでも なみだぁだせねえ
ていしゅが 死んでも なみだぁだせねえ
おらたちの かわりに



<感想など>

太平洋戦争を題材とした作品(だと思うの)ですが、著者「あとがき」によれば、これは1956年、取材旅行中に信州上田で聞いた話をもとにしているとのこと。

夫や息子を戦争で失った哀切な思いから、弔いをからすに託したのだろう

と松谷氏は解釈します。

それはそれで非常に重いテーマですし、「弔いをからすに託す」というアイデアも、何とも切なく胸かきむしられるような、いたたまれなさがあります。

ただ、私が今回、この作品をぜひ紹介したいと思った一番の理由は、

司修氏の筆になる、これらの

以前にご紹介した『空のおくりもの』とよく似て、バリバリに割れたようなキャンバス…というより、一枚一枚、古い陶器に描かれたような質感があるのですが(手法については、まったくわかりません)、

出色なのは、
飛び立ったからすたちが、お坊さまへと姿を変えるシーン
お坊さまとなったからすたちが、一つ一つの墓で弔うシーン
お坊さまたちが、またからすとなって、帰っていくシーン
の3点の絵。

なんと、神秘的でありながら、説得力があるのでしょう。

からすが坊主になるという、ずいぶんエキセントリックな設定にもかかわらず、かつ、ぶっちゃけ私はからすが嫌いなのにもかかわらず、これらのシーンには異様さ、妖しさとともに、崇高さを感じます。

再び、松谷氏の「あとがき」には、

画家の司修氏は、信州のりんご園や箱根の烏をスケッチし、餌付けの魚を求めて海辺へ降りて海上の烏をスケッチし、ついに高野山で烏が坊さまに変身する姿をつかんだ。そのときの喜びに満ちた私製はがきは忘じ難い。



さもありなん、と思います。

     *   *   *   *   *

やがて、戦争が終わり、からすは村に帰ってきます。

そして、物語を締めくくるべく、著者は言うのです。

からすよ
二度と
海を こえるな




スポンサーサイト

コメント

墨染めの衣

…を重ね合わせたんでしょうね、当然。

カラスはかなり利口な鳥。都会では…云々は
思い浮かべたかないですな。

南の国に向かった対外戦争だから、
白村江や秀吉の出兵、日清・日露・第一次大戦ではありませんね。

時代が新しいですから、上田市の「伝承」や「民話」ではないでしょうね。
「語り草」くらいのものだったのでは。

わたし(北信在住)はこの話を知りませんでしたが、
地元の童話専門誌「とうげの旗」あたりが
載せたり触れたりしたことがあるかもしれません(未確認)。
2012-09-16 10:36 | 緑青 #- | URL [ 編集 ]

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://sounanh.blog.fc2.com/tb.php/107-bb5ca5ec

 | ホーム |  page top