
2016年11月20日(日)
今さらですよね〜(笑)。
正直、書くのも恥ずかしいんですけど、ま、その周回遅れ加減も私らしくっておもしろいかと思うので、書いちゃいます
f^_^;) * * * * *私、ゴジラってあんまりちゃんと観てこなかったんですよ。
そりゃ、まぁ、日本で何十年も暮らしてれば、自然に目には入ってきますよ。
ミニラがタバコの煙みたいな輪っかを吐くのも懐かしく覚えてますし、ウルトラマンの怪獣に混じってキングギドラとかガイガンとかのフィギュアも持ってましたしね。
でも、作品として、最初から最後まできちんと観るってことはしてこなかった。
ウルトラマンは夢中になって観てましたけどね、ゴジラはちょっと…おもしろいと思わなかったんですよ。
「作品」として唯一ちゃんと観たのは、実は1998年版『GODZILLA』で、それもジャン・レノが出ているという理由から。
が、…何と不幸な出会いでしょう。
ここまで蔑ろにされると、ゴジラファンでない私でも怒り心頭ってもんで、もう二度とゴジラを観まい

と誓ってこの歳まで生きてきたんですよ。
* * *ところがですね、先日、仕事の打ち合わせで、ディスクロージャーの話から先の震災へと移って…と思ったら突然、
お客様 本間さん、シン・ゴジラは観ましたか
私 えっ

あ、いや、…まだ
お客様 あ〜れ〜は観なきゃあ。
私 そ、そ、そうですか
お客様 情報開示に関する政府の対応が、実によく描けてますよ、ええ。
私 す、すぐに観てきますっ

頭頂から流れ落ちる汗を拭っていると、
お客様 実は私、ゴジラファンでしてね。ちょっとしたエッセイを書いたこともあるんですよ。
私 そっ、それは存じませんで、大変失礼を…

そして続く続くゴジラ談義。歴史的経緯から各作品の短評、お勧め作品まで教えていただき、結局、打ち合わせの3分の1くらいはゴジラの話をしてました(笑)。
* * *となると、次の打ち合わせまでに観ないわけにはまいりません。
とはいえ、すぐには映画館に行く時間がとれず、まずは以下の5作品をDVDで予習(見た順)。
-----------------------------1. 『ゴジラ』1954年。
2. 『ゴジラ対ビオランテ』1989年。
3. 『ゴジラ』1984年。
4. 『ゴジラ FINAL WARS』2004年。
5. 『GODZILLA ゴジラ』2014年。
-----------------------------1. とりあえずはオリジナル版を。
やっぱり、あちこち見覚えがありますね。
2. それと、お客様曰く「
シナリオの完成度が非常に高かったですね」というお勧め作品。「
沢口靖子も、まだ可愛かったしね
」
ただ、これは1984年版を継承していて、いきなりスーパーX2とか出てくるので、「こりゃ、観なきゃいかん」ということで、お次へ。
3. なるほど、オリジナル以来、怪獣娯楽映画へと突き進み、何より人間に味方に成り下がってしまったゴジラをもう一度オリジナルのような、悲劇を背負った「荒ぶる神」に引き戻したわけですね。
加えて、冷戦という時代背景と、そのなかで平和ボケしている日本の(作り手を含めた)国際政治センスのなさがにじみ出ていました(「大統領も書記長もわかってくれたよ」だか何だかのセリフにはズッコケました(笑))。
これで、あとは「シン」を観ればいいかと思ったんですが、
4. ゴジラ50周年の記念作品ということで、一応。
ま、「縁起物ですから」という気持ちで観ないと、ちょっと…な作品ですね(笑)。
5. で、最後に過去一番新しいものということで観たんですが…、1998年版に比べれば圧倒的によくできてると思いましたね。
怪獣対決型のオマージュで、しかし現代の科学水準がそれなりに反映されていて(でも、熱線は使いましたけどね(笑))、エンターテイメントとして十分に楽しめる。
あえて言えば、人間チームが結局は無意味なことしかやってないのと、やっぱりアメリカの核実験には触れないところに苦笑しましたけど。
* * *で、昨日。午後から取材の仕事が入っていたので、「ここしかないっ」と朝一番の回を目がけて新宿へ。
やっぱり、ここで観るべきかなぁと思いまして
f^_^;)
新宿TOHO CINEMAS。
封切りからずいぶん経つというのに、センターの2列は席がほぼ埋まってました。
でもって、ようやく感想ですが…
『ゴジラ』を初めておもしろいと思いましたっ

レビューを読むと賛否両論・毀誉褒貶がすさまじいですが、私は、ちゃんと大人が納得できる作品になってたと思いますよ。
たとえば、

会議が多い(そのせいもあって単調)という批判が多いようですが、
いや、あんなもんですよ。私はむしろ、手続きに則って会議のレベルごとに部屋を替えて集まり直すとことか、対策本部を設置したり組織替えする度にコピー機やら机やらPCやらを搬入するとことか、避難誘導だとか他自治体への避難民の受け入れ要請をどうしようかとかといったあたりを、「だよね」と頷きながら観てました。

『ヱヴァ』っぽかったですね、たしかに(笑)。これこそ賛否両論ありましたが、私は肯定派です。
『ヱヴァ』は日本を代表するアニメとして一時代を築いたわけですから、『ヱヴァ』の血を『ゴジラ』に注いだと考えればいいんですよ。
『ゴジラ』はそうやって進化していけばいいんです。

東日本大震災を下敷きにしすぎているといった批判も見受けましたが、私はむしろ当然だと思います。
1954年版にせよ、1984年版にせよ、時代性・社会性を色濃く反映しているじゃないですか。
2016年版も、やはり2010年代の日本社会をしっかり描くべきだし、ならば3.11抜きなんて考えられません。
『ゴジラ』はそうやって日本社会とともに歩んでいくんですよ、きっと。

進化のアイデアとか、庵野秀明氏のオリジナリティもしっかり入ってますよね。
でもって、「科学的なリアリティを追求していくと、あの熱線は難しいよな。ハリウッド2014年版は控えめに(ほとんどオマージュとしてか

)使ってたけど、庵野監督はどうするんだろ」なんて思ってたら、逆に針を振り切って、もう得体の知れない光線を出しまくってましたね(笑)。
いや、恐れ入りましたm(_ _)mその他、細かい部分のリアリティでいっぱい批判があるみたいですし、「それはない、ない」と、吹き出すようなところもなかったわけじゃありませんが、それはともかく、<物語の幹>の部分で、なんかもう…、
2016年の『ゴジラ』として、やるべきことを全部やったんじゃないかとさえ、思いました。
あ、ちなみに、MX4Dってヤツ、初体験だったんですが、
作品にもよるかもしれませんが、私は…、いらなかったです(笑)。
* * * * *まとめますと、本作を観て一番感じたことはですね、
『ゴジラ』は今後、20年に一回くらい作ることにして、
その時点における科学技術(軍事含む)水準や社会情勢を反映した作品にして、
それを当代一のエキサイティングな監督に委ねればいいと思うんですよ。
もう、日本の記録ですね、こうなると。
『ゴジラ』を通した一種の定点観測みたいな。
そのために、
まずは日本学術会議が「2040年の科学技術」みたいなレポートを出して、
人文学・社会科学者などを交えた国民会議(首相の諮問機関)がそれをふまえた社会制度設計上の課題と見通しを示し、
スタッフ、俳優、資金などなど、日本エンタメ界の総力を挙げて作る、とかね。
第◯期科学技術基本計画みたいなノリで、20年計画を立てるつもりでやるんですよ。
こりゃもう、日本の記念行事ですね(笑)。
…と思ったら、早くも来年にはアニメ版が出るそうな

(なんか、別世界っぽいですが)
観るべきか、観ざるべきか…、ま、そのときになったら考えよう。