
2012年12月7日(金)

夕方、大きな地震がありましたね。
私の職場は地下1階なので、揺れは小さいほうだと思うのですが、それでも長く続いた揺れに、何だか乗り物酔いでもしたような気分でした。
これもまた、大震災の「余震」なのだそうで、
「ああ、地球にしてみたら、ぜんっぜん終わってないんだな」
と思い知らされた気分でした。

帰宅してから知ったのですが、本日、先月10日に亡くなられた森光子さんの本葬が行われたとのこと。
享年92歳。
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92歳

あんな密度の濃い人生を92年間も続けるなんて…
私には、とてもできそうにありません(っていうか、すでに薄い)。

そして、去る5日には、中村勘三郎さんが亡くなられましたね。
享年57歳とのこと。
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57歳

こんなすごい人でも、こんなふうに強制終了させられてしまうのか、人生ってやつは。
と思う半面、
この人は、たった57年間で、いったいどれだけのことを成し遂げたのか…
私が57歳になるまで、あと…
一つくらいは、何かしら成し遂げてみたいものです。
などなど、我がことを考えてしまいます。
私が祈っても何の足しにもなりませんが、お二人のご冥福をお祈り致します。
* * * * *ここにも(というより、もっと早く)、夭逝した作家が一人。
◯151
『風さん』ジュビレ・フォン・オルファース作 秦理絵子訳、2003年9月20日、平凡社、1500円(Windchen, Sibylle von Olfers, J. F. Schreiber GmbH, 1910; renewed by Loewe Verlag, 1990)
ジュビレ・フォン・オルファース(Sibylle von Olfers)
1881年、東プロイセンにて貴族の家柄に生まれる。
早くから絵を習い、画家であり作家でもあった叔母の指導を受ける。
20代半ばで修道院に入ってからも絵の勉強を続け、
その後、美術教師をしながら宗教画や絵本を制作する。
肺病を患い、1916年死去。
享年34歳。
残された作品は8作とのことですが、私が確認できた翻訳作品は以下6作品。
『ねっこぼっこ』
『森のおひめさま』
『うさぎのくにへ』
『ちょうちょのくに』
『ゆきのおしろへ』
『風さん』
いずれも、秦理絵子訳、平凡社発行。
(過去には童話館出版や福武書店から別訳が出ている作品もありますが、私は読んでいません)
おそらく、オルファースの代表作というと、『ねっこぼっこ』『ちょうちょのくに』あたりかと思いますが、どの作品も、自然のなかに身を置き、細部までよくよく観察した者ならではの、確かで優しい視線を感じさせます。
で、
この6冊のなかで一番好きな絵を選びなさい、と言われたら…
と考えて、冒頭の一枚を選びました。
くるくる元気で、楽しいことが大好きな「風さん」。
今度は、色づいた葉っぱの散らしっこ。
風さんに導かれ、自然のなかに戯れるハンス少年。それは、
自然に抱かれ、
秋風に舞い散る落ち葉のなかで
はしゃぎ踊る少年
そんな、このうえなく幸福な一瞬を切り取った絵
ということなのでしょうが、それをこんなふうに、
優しさやら、かわいらしさやら、いたずら心やら、ちゃめっ気やらがふんだんに盛り込まれた世界として、仕上げられているわけです。
…
そうか、
彼女の作品に共通しているのは、遊び心なんですね。
(もしくは、遊びたくってしかたがない、子ども心や好奇心

)