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本間宗南

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映画鑑賞:『箱舟』

2019年2月11日(月)

去る8日(金)、もりたえみさんが出演された映画を観に、横浜(って言っても港北NTですが)まで行ってきました。

『箱舟』
監督:我修院達也
脚本:畠山準一
於:イオンシネマ港北ニュータウン

<あらすじ>

舞台は九十九里に面した静かな田舎町。

ここに、ある新興宗教団体が転入し、施設を構えて集団生活を始める。
ネット上には、同教団による強制入会や監禁その他の反社会的活動に関する噂が。
不安を募らせ、彼らを追い出そうとプラカードを掲げて運動する地元住民。

と、その様子をビデオで撮影する若い女性。
彼女は、同教団の取材を続けている某ニュースサイトの記者だった。

その現場で、彼女は少し離れた場所から施設をじっと見つめている1人の中年女性に気づく。
その女性は、娘が教団に入会し、連絡が取れなくなっているという。

報道とは何かに悩みつつ、教団の実態を暴こうとする記者。
罪の意識に苛まれながら、娘を救出しようとする母親。

地元住民、政治家、過激派の活動家など、さまざまな人々それぞれの思惑が交錯し、事態が変転するなか、
2人はついに施設への潜入を試みる。

そして、事件が…。

母は、娘を取り戻せるのか
記者は、そこで何を見るのか



…ってとこかなと。

<感想など>

こちら、我修院氏の自主制作映画的感じで(違ってたらごめんなさい)、この日、この会場かぎりの上演。
出演者も、たぶん過半数は演技経験がないか、それに準ずるような方々。
カメラワークも編集も低予算・短期超特急感がにじみ出ていて、実に手作り感たっぷりの作品でした。

そして、我らがもりさんですが、そんななかでの準主役的なポジションで、さすがの安定した演技。
主役の女優さんとともに作品を背負い、また支えていました。

で、その他もろもろ感想はあるんですが…、
なんと、役者・スタッフさんたちの試写会はこれからで、当人たちはまだ観てないとのこと。
なので、自分がどう撮影されていたのか、それがどう編集されたかは、まだ知らないのだそうです。
というわけで、ネタバレを避けるべく、ここでは割愛させていただきますm(_ _)m


もりさん、お疲れ様でしたm(_ _)m
たぶん、遠からず、どこかの公演でお会いできると思うので、詳しくはそのときにでも。


以上、簡単すぎて恐縮ですが、鑑賞のご報告でしたm(_ _)m


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映画鑑賞:『SING』

20170319sing_convert_20170319172548.png

2017年3月19日(日)

本日は家庭サービスで、朝から映画館へ。
今回の分担は、
嫁さん:息子と『しまじろうと にじのオアシス
私:娘と『SINGシング

       *   *   *

映画館は早朝だというのに家族連れで大混雑。
ありゃ、まいったなぁと思っていたら、皆さんは『ドラえもん』のほうへ。
やっぱり人気ありますね。

実を言うと、我々もウチを出る直前までは『ドラえもん』を観る予定だったのですが、娘が「映画は観たいけど、ドラえもんはイヤ」と言い出し、それじゃあと嫁さんが急ぎ検索して『SING』に決定。

藤子不二雄作品で育った私としては、ドラえもんを嫌がる日本人がいるなんて驚きなんですが(笑)、娘はとても冷淡。
ま、かく言う私も、大山のぶ代じゃないドラえもんには相変わらず馴染めず、一方の『SING』は手堅く楽しませてもらえるだろうと思い、変更を歓迎。

で、観に行ったんですが…

予想以上におもしろい

倒産しそうな劇場を立て直そうと一発逆転を狙って…という設定も、悪く言えばありがちですが良く言えば鉄板、ストーリーも定石どおりで安定感があります。

また、「歌のコンテスト」ということで、終始ヒットメロディのオンパレード、聴いていて楽しい。
吹き替え版でしたが、全員が十分に聴けるし、最後のMISIAはさすがという以上に圧巻。
(後日、DVDで英語版を聴きたいとは思いますが)

そして、主人公・バスター・ムーン役のウッチャンが、実に上手い
細かい感情を丁寧に表現しながら、肩の力が抜けていて、何と言うか、彼のセリフを聞いていて、気持ちが軽やかにswingしました。
予習しないで行ったのですが、「聞き覚えのある声だな」とは思ったものの、ウッチャンとは気づかなかったほど。


手堅いエンターテインメント作品。
娘も楽しんでましたし、親子で観るには安全牌かなと。
(ちなみに、息子も『しまじろう』で大興奮したようです(笑))

   *   *   *   *   *

おっと、もうこんな時間だ。
これから子どもたちを風呂に入れます。

ではではm(_ _)m

映画鑑賞:『シン・ゴジラ』

20161119シンゴジラ1_convert_20161120124004

2016年11月20日(日)

今さらですよね〜(笑)。


正直、書くのも恥ずかしいんですけど、ま、その周回遅れ加減も私らしくっておもしろいかと思うので、書いちゃいますf^_^;)

   *   *   *   *   *

私、ゴジラってあんまりちゃんと観てこなかったんですよ。

そりゃ、まぁ、日本で何十年も暮らしてれば、自然に目には入ってきますよ。
ミニラがタバコの煙みたいな輪っかを吐くのも懐かしく覚えてますし、ウルトラマンの怪獣に混じってキングギドラとかガイガンとかのフィギュアも持ってましたしね。

でも、作品として、最初から最後まできちんと観るってことはしてこなかった。
ウルトラマンは夢中になって観てましたけどね、ゴジラはちょっと…おもしろいと思わなかったんですよ。

「作品」として唯一ちゃんと観たのは、実は1998年版『GODZILLA』で、それもジャン・レノが出ているという理由から。

が、…何と不幸な出会いでしょう。
ここまで蔑ろにされると、ゴジラファンでない私でも怒り心頭ってもんで、もう二度とゴジラを観まい と誓ってこの歳まで生きてきたんですよ。

       *   *   *

ところがですね、先日、仕事の打ち合わせで、ディスクロージャーの話から先の震災へと移って…と思ったら突然、

お客様 本間さん、シン・ゴジラは観ましたか
   えっ あ、いや、…まだ
お客様 あ〜れ〜は観なきゃあ。
   そ、そ、そうですか
お客様 情報開示に関する政府の対応が、実によく描けてますよ、ええ。
   す、すぐに観てきますっ

頭頂から流れ落ちる汗を拭っていると、

お客様 実は私、ゴジラファンでしてね。ちょっとしたエッセイを書いたこともあるんですよ。
   そっ、それは存じませんで、大変失礼を…

そして続く続くゴジラ談義。歴史的経緯から各作品の短評、お勧め作品まで教えていただき、結局、打ち合わせの3分の1くらいはゴジラの話をしてました(笑)。

       *   *   *

となると、次の打ち合わせまでに観ないわけにはまいりません。
とはいえ、すぐには映画館に行く時間がとれず、まずは以下の5作品をDVDで予習(見た順)。

-----------------------------
1. 『ゴジラ』1954年。
2. 『ゴジラ対ビオランテ』1989年。
3. 『ゴジラ』1984年。
4. 『ゴジラ FINAL WARS』2004年。
5. 『GODZILLA ゴジラ』2014年。
-----------------------------

1. とりあえずはオリジナル版を。
やっぱり、あちこち見覚えがありますね。

2. それと、お客様曰く「シナリオの完成度が非常に高かったですね」というお勧め作品。「沢口靖子も、まだ可愛かったしね
ただ、これは1984年版を継承していて、いきなりスーパーX2とか出てくるので、「こりゃ、観なきゃいかん」ということで、お次へ。

3. なるほど、オリジナル以来、怪獣娯楽映画へと突き進み、何より人間に味方に成り下がってしまったゴジラをもう一度オリジナルのような、悲劇を背負った「荒ぶる神」に引き戻したわけですね。
加えて、冷戦という時代背景と、そのなかで平和ボケしている日本の(作り手を含めた)国際政治センスのなさがにじみ出ていました(「大統領も書記長もわかってくれたよ」だか何だかのセリフにはズッコケました(笑))。

これで、あとは「シン」を観ればいいかと思ったんですが、

4. ゴジラ50周年の記念作品ということで、一応。
ま、「縁起物ですから」という気持ちで観ないと、ちょっと…な作品ですね(笑)。

5. で、最後に過去一番新しいものということで観たんですが…、1998年版に比べれば圧倒的によくできてると思いましたね。
怪獣対決型のオマージュで、しかし現代の科学水準がそれなりに反映されていて(でも、熱線は使いましたけどね(笑))、エンターテイメントとして十分に楽しめる。
あえて言えば、人間チームが結局は無意味なことしかやってないのと、やっぱりアメリカの核実験には触れないところに苦笑しましたけど。

       *   *   *

で、昨日。

午後から取材の仕事が入っていたので、「ここしかないっ」と朝一番の回を目がけて新宿へ。

やっぱり、ここで観るべきかなぁと思いましてf^_^;)
20161119シンゴジラ2_convert_20161120124039

新宿TOHO CINEMAS

封切りからずいぶん経つというのに、センターの2列は席がほぼ埋まってました。

でもって、ようやく感想ですが…


『ゴジラ』を初めておもしろいと思いましたっ


レビューを読むと賛否両論・毀誉褒貶がすさまじいですが、私は、ちゃんと大人が納得できる作品になってたと思いますよ。

たとえば、

会議が多い(そのせいもあって単調)という批判が多いようですが、

いや、あんなもんですよ。

私はむしろ、手続きに則って会議のレベルごとに部屋を替えて集まり直すとことか、対策本部を設置したり組織替えする度にコピー機やら机やらPCやらを搬入するとことか、避難誘導だとか他自治体への避難民の受け入れ要請をどうしようかとかといったあたりを、「だよね」と頷きながら観てました。

『ヱヴァ』っぽかったですね、たしかに(笑)。これこそ賛否両論ありましたが、私は肯定派です。
『ヱヴァ』は日本を代表するアニメとして一時代を築いたわけですから、『ヱヴァ』の血を『ゴジラ』に注いだと考えればいいんですよ。
『ゴジラ』はそうやって進化していけばいいんです。

東日本大震災を下敷きにしすぎているといった批判も見受けましたが、私はむしろ当然だと思います。
1954年版にせよ、1984年版にせよ、時代性・社会性を色濃く反映しているじゃないですか。
2016年版も、やはり2010年代の日本社会をしっかり描くべきだし、ならば3.11抜きなんて考えられません。
『ゴジラ』はそうやって日本社会とともに歩んでいくんですよ、きっと。

進化のアイデアとか、庵野秀明氏のオリジナリティもしっかり入ってますよね。
でもって、「科学的なリアリティを追求していくと、あの熱線は難しいよな。ハリウッド2014年版は控えめに(ほとんどオマージュとしてか)使ってたけど、庵野監督はどうするんだろ」なんて思ってたら、逆に針を振り切って、もう得体の知れない光線を出しまくってましたね(笑)。

いや、恐れ入りましたm(_ _)m

その他、細かい部分のリアリティでいっぱい批判があるみたいですし、「それはない、ない」と、吹き出すようなところもなかったわけじゃありませんが、それはともかく、<物語の幹>の部分で、なんかもう…、

2016年の『ゴジラ』として、やるべきことを全部やったんじゃないか

とさえ、思いました。

あ、ちなみに、MX4Dってヤツ、初体験だったんですが、
作品にもよるかもしれませんが、私は…、いらなかったです(笑)。

   *   *   *   *   *

まとめますと、本作を観て一番感じたことはですね、

『ゴジラ』は今後、20年に一回くらい作ることにして、
その時点における科学技術(軍事含む)水準や社会情勢を反映した作品にして、
それを当代一のエキサイティングな監督に委ねればいいと思うんですよ。
もう、日本の記録ですね、こうなると。
『ゴジラ』を通した一種の定点観測みたいな。

そのために、
まずは日本学術会議が「2040年の科学技術」みたいなレポートを出して、
人文学・社会科学者などを交えた国民会議(首相の諮問機関)がそれをふまえた社会制度設計上の課題と見通しを示し、
スタッフ、俳優、資金などなど、日本エンタメ界の総力を挙げて作る、とかね。

第◯期科学技術基本計画みたいなノリで、20年計画を立てるつもりでやるんですよ。
こりゃもう、日本の記念行事ですね(笑)。

…と思ったら、早くも来年にはアニメ版が出るそうな
(なんか、別世界っぽいですが)

観るべきか、観ざるべきか…、ま、そのときになったら考えよう。

映画鑑賞:『トランボ』

2016年8月27日(土)

本日も朝一番で病院へ。
経過は順調。
下剤はやめて、鎮痛剤のみ追加で処方してもらい、ガーゼを購入。

で、そこから遠路、日比谷へ

   *   *   *   *   *

えっとですね、一応、今週からは完全復帰しまして、

3:00 起床、鎮痛剤を服用して二度寝へ
5:00 起床、5:50のバスに乗って出立
7:30 会社に到着、仕事開始
8:30 退社、8:45の電車に乗って帰路に
10:20 帰宅、風呂に入って晩飯食って
12:00 就寝
3:00 起床、鎮痛剤を服用して二度寝へ

って生活を5日間、続けたんですよ。
血をチョロチョロ流しながら、
酒を一滴も呑まずに

がんばったでしょ、私。

そんな私に、何かご褒美をあげなきゃいかんだろ〜(笑)と思いまして、こちらを観に行ったわけですf^_^;)

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『トランボ——ハリウッドに最も嫌われた男』
監督:ジェイ・ローチ
脚本:ジョン・マクナマラ
出演:ブライアン・クランストン/ダイアン・レインほか
2015年、アメリカ
於:TOHOシネマズ シャンテ(日比谷)

<あらすじ>

舞台は1950〜60年代のアメリカ・ハリウッド。
主人公のダルトン・トランボ(Dalton Trumbo, 1905-1976)は、『ローマの休日』『スパルタカス』など数多くの名作を生み出した脚本家です。

共産主義者である彼は1950年代の「赤狩り」によって投獄され、出獄後もいわゆる「ブラックリスト」の載せられて映画産業から排斥されます。

そこで彼は、偽名を使い、フランク・キングに雇われて、同じく排斥された仲間たちとともに脚本を書きまくります。

これは、もちろん生活のためでありながら、半面で「ブラックリスト」を無力化するための彼なりの「闘争」でもありました。

そして、カーク・ダグラスやオットー・プレミンジャーらの後押しもあり、1960年に公式に業界復帰、名誉が回復されます。

物語は、一方でアメリカ社会の思想・言論統制とメディア・映画産業の(負の)歴史と、もう一方で家族の絆を守り抜いたトランボ一家(なかでも、妻クレアと長女ニコラ)の姿とを紡ぎ合わせながら、トランボという人物の強靭な知性としたたかな精神を描いていきます。

<感想など>

いや〜、おもしろかった。
大当たりです。

思想の自由、表現の自由が奪われるとき、
そして何より、「言葉」の自由が奪われるとき、
民主主義がどれほど危機にさらされるかということを、
見事に描いていると思いました。

「赤狩り」はハリウッドにとっても苦い過去のようですが、
それをさまざまな角度から繰り返し描き続けているところに、
ハリウッドの、ひいてはアメリカの強さがあるよなぁ、と思います。

作品中でも、「われわれには間違える権利がある」というトランボのセリフが出てきますが、
アメリカという国は、しばしば大きな間違いを犯しながらも、
それを繰り返し反省し合い、許し合うことで、
強さとバランスを保ってきたように見えます。

       *   *   *

翻って、日本はどうか
アメリカの1950年代の過ちを繰り返し反省しているわけですが、
そのほんの少し前、1920年代後半から40年代前半にかけての言論統制を、
戦後、私たち日本人はどれだけ真剣に検証・反省してきたか

パッと思いつくところでは、
小林多喜二の死を扱った、井上ひさしの『組曲虐殺』、
舞台脚本の検閲を扱った、三谷幸喜の『笑いの大学』、
あたりか…。

何か、ありますかね

戦争を扱った映画・演劇作品は数あれど、
思想・信条・表現の自由、言論統制を主題にしたものはというと…



すみません、ホントは、ここからメディアと現政権との関係なんかを踏まえて、だから日本の民主主義は脆いんだって話につなげたいんですけど、映画も舞台も、あんまり観てないんで、話が続きません(>_<;)

       *   *   *

ただ、最後に一言。

富の分配の歪みや不寛容が世界的に拡大し、深刻化している今だからこそ、
そして、そうした状況がぴったり当てはまる日本だからこそ、
この作品は、とても、とても示唆に富むなぁと思いました。

映画鑑賞:『帰ってきたヒトラー』

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2016年8月7日(日)

昨日は朝から休日出勤。晩飯までに帰って、地元の花火祭りをベランダから見物。

本日は午前中に家族で映画を観てきて、午後は入院の準備をしております。
入院なんて初めてなんで、何を準備していいのか分からない。
ちょっと長めの出張くらいな感じでいいのかな。

そんなこんなで、下着やら入院中に読む本やら仕事やらをキャリーバッグに詰め込んでおります。

…が、嫌になってきたので、その合間にちょっとだけブログを更新f^_^;)

   *   *   *   *   *

以前に仕事先の方から話を聞いて、気になっていながらズルズル過ごしてたんですが、

「退院したときには、上演が終わっているかもしれない」

と焦燥に駆られ、先週の金曜日(5日)、発作的にロードショーに行ってきました。

『帰ってきたヒトラー』
監督:デヴィッド・ヴェンド
2015年、ドイツ
於:池袋シネマ・ロサ

       *   *   *

あらすじをざっくりご紹介すると…。

舞台は2014年のドイツ・ベルリン。

1945年に地下の総統本部でガソリンをかぶって焼身自殺したはずのヒトラーが、タイムスリップして現代に登場
訳が分からず、本部に戻ろうとして焦げた軍服のまま歩き出したヒトラーは、街の様子、人々の様子に唖然。
一方、街の人々は、「ヒトラーのソックリ芸人さん」かと思ってゲラゲラ笑ったり、記念写真を撮ったり。

街角のキオスクで新聞を読み、2014年だと知ったヒトラーは、そのまま疲労と空腹で倒れてしまいます。

その姿を偶然に見つけたTVディレクター(失業中)のザヴァツキは、自分が復職するための千載一遇のチャンスとばかりに、彼を連れて車でドイツ行脚し、行く先々で人々と語り合うヒトラーの姿をネットにアップ。

これがなんと、話題になってアクセス100万回以上
ヒトラーは一躍「モノマネ芸人」としてTVスターに。

市井の人々から政治家まで、さまざまなドイツ国民と語り合い、
さらにインターネットで歴史と国際情勢をつぶさに学んだヒトラーは、
現代ドイツ社会が抱える問題と人々の鬱屈を鋭く見抜きます。

そして、人々に語りかけるのです。
あるべきドイツの再興と、実行力あるリーダーの必要とを。

人々は、冗談とも本気とも分からないまま、本質を突いた彼の演説に、徐々に魅了されていきます。

ヒトラーの著書はベストセラーとなり、
ザヴァツキの監督で映画化されることに。

おまけに、ネオナチが「バカにしやがって」と、ヒトラーを襲撃したため、
重傷を負ったヒトラーはネオナチの敵、民主主義の擁護者として英雄的存在に

しかし、撮影の過程で、ザヴァツキはヒトラーが「ホンモノ」であることに気づきます。

「彼を生かしておいてはいけない」

そう考えたザヴァツキは、ヒトラーを殺そうと…

       *   *   *

原作は2012年にドイツで発表されベストセラーとなった小説(邦訳、河出文庫)ですが、映画化にあたって相当な改変を加えています。

一番驚いたのは、撮影にあたって、デヴィッド・ヴェンド監督、ヒトラー役(オリヴァー・マスッチ)、ザヴァツキ役(ファビアン・ブッシュ)が本当にドイツ中を旅し、街へ繰り出し、人々と語り合っていること。

私には、誰が役者さんで、誰が実在の政治家・テレビタレントで、誰が一般市民なのかが分からないわけですが、パンフレットによると、ホントーに素人さんのなかに入っていったとのこと。

そして、監督自身、あまりに多くの人々がヒトラー(役のマスッチ)を受け入れ、彼に向かって右傾的心情(外国人の排斥など)を訴えたことに衝撃を受けています。

もちろん、カメラで撮影されていることを知りながら。

       *   *   *

ラストシーンで、
ヒトラーはザヴァツキに語りかけます。

私が大衆を煽動したわけではない。
彼らは、計画を示した優れた人物をリーダーに選んだのだ。

私が怪物だとしても、
私を選んだのは普通の人々ではないか。

お前は、選挙を否定できるのか…。

そう、ヒトラーを消すことなど、できないのです。

       *   *   *

全般にコメディ(スラップスティック)タッチなので、あちこちに笑いが埋め込まれている半面、
私が上で書いたような社会的で背筋の寒くなるような面には、イマイチ踏み込みが浅いようにも感じますが、
もちろん、ぼんやり観ることさえしなければ、この映画が意味する恐ろしさは十分に伝わります。

それにしても、
自分を苦しめるものを排除してほしいと願う人々の弱さと自己愛が、
どれほど容易に権力者に利用されうるのか…。

社会の右傾化や極右的政治家の台頭は、
己を取り巻く不安や不満、苦しみに耐えられない私たちの弱さを映し出しているのだと、
つくづく教えられます。

アメリカの某候補や日本の某首相の言動を理解するうえでも、
きわめて重要な示唆を与えてくれる作品だと思いました。

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